キーワード
カテゴリー
予算
x 閉じる

MAKERS

MAKERS FILE02

INTERIOR DESIGN STUDIO FOAT 代表 吉本秀作

インタビュアー | 海老澤琢

人形町ウォレテリア店内 神楽坂ウォレテリア店内

「立ち止まりたくなる」ウォレテリアの秘密

「何の店ですか?」 人形町ウォレテリアをオープンした当初、店の前で立ち止まられた方々によく尋ねられました。「革製品の専門店です」と説明すると、皆様少し驚かれる様子。神楽坂ウォレテリアを開店すると、同じことを街の人に聞かれました。モダンでいて、どことなく和を感じさせるデザイン、そこに革製品が置かれていることが目新しく映るようです。
山藤の直営店はどちらもインテリアデザイン事務所「FOAT」に設計をお願いしています。今回のMAKERSでは代表でありデザイナーでもある吉本さんにお話を伺いました。

人形町店はバックヤードを入れて10坪ほどの極小店舗。カウンターを中心に、空間が二つに別れている変形的な作りですが、「店の中をお客様が自然に回る『流れ』を作り出すことが重要なんです」と吉本さん。
なるほど、小さな空間でも動くことができれば人間は圧迫感を感じない。玄関に向かって真正面ではなく、斜めに設えられたカウンターも、新規のお客様には入りやすく、地元のお客様からは私の顔が見えることで安心していただける作りになっているそうです。
神楽坂店は、店の中央で存在感を放つアイアン台や、商品棚の銅板などの異素材が、まず目を引きつけます。使用するうちに徐々に変化してゆく素材が、店舗に魅力を与えていくことを意図したデザインになっています。

デザインを“濾過”するとは

インタビューをしていて、興味深かったことがあります。MAKERSの取材の核となる「あなたにとって、ものづくりとは?」という質問に、吉本さんは少し考えながら「自分が介入できないところ」と答えられました。
完成物を引き渡した後は、自分の手を離れ、空間として生きていくと考えているからだそうです。だからこそ、不要なものは排除し、本当に必要なデザインと機能だけを残す"濾過"という行為をとても大切にしているそうです。
「最低限のデザインで最大限の空間に」という考えを中心に行なっている吉本さんのインテリアデザインは、そこにいる人や物を引き立てる器のようだと思いました。



職人の魂が繋ぐ、ものづくりの縁

「できるだけ人工的な物は極力使わず、攻めたデザインの中にもあったかい手作り感があるような物を作りたいんです」
ご自身の目指すデザインについて伺っていると、聞いているうちに既視感を覚えました。山藤代表の山本の求めているものづくり感と全く一緒ではないか、と。見た目や性格は全く異なる二人ですが、底にある「職人魂」が呼応するような不思議な関係性があるんです。
財布とインテリア、作るものは違えど、ものづくりの根本を共有できるMAKERである吉本さんだから、ウォレテリアの設計を安心してお任せすることができました。吉本さんの設計したウォレテリアでこそ、山藤製品はより魅力的に映るのです。

暮らしに寄り添うクリエイティブ

大学ではプロダクトデザインを専攻し、三年生からは建築学科へ編入。生粋のデザイナーであり、物静かでストイックな印象の吉本さんですが、プライベートは多趣味。
「時間ができた時はバイクに乗って、風景やストリートの写真を取りに行きます。それから、うさぎを飼い始めたら可愛くて仕方なくて。家に早く帰りたくなるんです。」
建築家であるお父様の影響で、幼い頃から自然とものづくりをする環境があったと言います。小さな頃から絵を描くのが好きで、今でも時々お子様にねだられて絵を描くそう。後日、飼っているうさぎの絵の写真を送ってくださいました。

吉本さんのお話には「身近・心地よさ」という言葉がよく出て来ます。身近な物、身近に触れるもの、暮らしに心地よさを与えるもの。
仕事とプライベート、違う形でありながら常にクリエイティブが溶け込んでいる環境が、吉本さんのインテリアデザインに心地よさを与えているのではないでしょうか。

財布は人を表す。

「無駄がないデザインが好きですね。薄くて自分のライフスタイルにも合っていると思います。」
と言って見せてくださったのは2年ほど使用しているFUUKINの長財布。究極まで削ぎ落とされたデザインと機能、最高級のマテリアルであるコードバン、そこに匠の技術が感じられるもの...2年前に人形町ウォレテリアをオープンする際に、吉本さんにはこれしかないと思い、おすすめさせていただきました。
「使い方が雑なので傷が多いけど、それも味わいです。この財布を出すと革好きの友達にも、どこのお財布?と聞かれます。」
確かに表面は擦れたような箇所があるけれど、くたびれているという印象ではなく、手に馴染んでいるといった様子。薄さを実現しながら、お金を綺麗に保つ「風琴マチ」も吉本さんの生活の中にすっと溶け込んでいるようです。

MAKERS FILE02

INTERIOR DESIGN STUDIO FOAT 代表 吉本秀作

オーダーメイド家具からインテリアの設計まで手がけるデザイン事務所「FOAT」の代表兼デザイナー。素材や空間を生かし、”濾過”されたデザインを提供するMAKER。

【FOAT】
東京都目黒区東山1-21-13
HOMEST EAST HILLS No.102
www.foat.co.jp

MAKERSトップへ戻る

 記事内で紹介された製品

Instagram

@tokyo_yamatou
@tokyo_yamatou_semiorder

User gallerySNSにて @tokyo_yamatou #yamatou を付けて写真を投稿頂いた方の中から、素敵な写真をシェアしています。

SNSにて @tokyo_yamatou #yamatou を付けて写真を投稿頂いた方の中から、
素敵な写真をシェアしています。