アトリエのある街 02 | 山藤(やまとう)| 老舗の職人が作る日本製の革財布

アトリエのある街 02

東京都、台東区。博物館や美術館などがあり文化的な雰囲気漂う上野側と、下町情緒あふれ大規模な祭りなどで盛り上がる浅草側。東京の観光名所が多く存在する東京屈指の下町です。 そんな山藤のアトリエのある街には、ものづくりの精神を垣間見ることができる素敵なお店やスポットが盛り沢山。 アトリエを訪れたお客様にはぜひ足を運んでいただきたいオススメの場所をご紹介します。

宝船熊手の老舗「よし田」

工房には仕上げを待つたくさんの熊手が並ぶ

山藤を長年見守る「熊手」

毎年11月に、浅草にある鷲神社で行われる「酉の市(とりのいち)」。毎年70万人もの人が押し寄せるとも言われる、浅草の秋の風物詩と言われるお祭りです。酉の市ではお参りをした後、来年一年の商売繁盛や家内安全を祈って「熊手(くまで)」と呼ばれる縁起物を購入します。今回お邪魔したのは、山藤が創業以来熊手を購入している「よし田」さんの工房。「よし田」さんは鷲(おおとり)神社の酉の市のみで宝船熊手を販売している、まさに”浅草酉の市の熊手製造の重鎮”。創業以来約80年間、形とデザインをほとんど変えず、伝統技法を受け継ぐ老舗です。

一番右が完成形

手書きの縁起物=指物(さしもの)たち

宝船熊手には何種類もの”縁起物”(=指物)が乗っています。竹に絵札を貼った物なのですが、そのほとんどを手書きで行っている「よし田」さん。 プリントのものが主流になりつつある今、伝統と技術を守り時間をかけ作り上げていく「よし田」さんの指物には、力強さと粋な筆使いが見られ、手仕事の美しさを目の当たりにすることができます。

一番右が完成形

伺った日に行われていたのは、七福神の使いとされる”唐子(からこ)”の絵付け作業。まず絵の輪郭となる縁取りをし、色を幾重にも重ね、濃淡を出していく。

少しずつ異なる表情の毘沙門天さん

もちろん手書きなので、一つ一つ比べると微妙な違があり、手書き独特の温かみが魅力的です。

エコな演出。見えない”祈り”

一つずつ指物を差し込む 小判の奥が鏡餅

上の絵の柄部分に使われているのは、門松に使われた竹を割ったもの。 ご利益がありそうで、嬉しい気持ちになりました。 自然な形でエコな循環が、昔から息づいているなんて、とても素敵です。 また、今回の見学で驚いたことの一つが、熊手の見えない部分に縁起物の鏡餅の指物をしていること。写真の段階では鏡餅の指物が見えていますが、この後、他の指物を入れてしまうそう。なんとも粋な演出だと思いませんか…!

“職人として”伝統を受け継ぐ

吉田京子さん

江戸時代から続く代々の技法を受け継ぐ吉田京子さん。 面相(顔描き)はもちろん、指物を熊手に刺していく作業まで、多くの工程を受け継ぐ中での、「私たちは芸術家じゃないんです。」と京子さんは言います。 「私たちはあくまでも職人。職人たる者、クオリティを保ちながら限られた時間の中で手際よく生産していく技術を学び、習得してきました。」 取材に同行していた山藤の社長(通称BOSS)も「その通りですね」、と互いにうなづきあっていました。

様々な写真

宝船熊手 よし田

酉の市は、11月の酉の日(十二支)に、浅草の酉の寺をはじめ関東各地で行われる、開運招福・商売繁盛を願う祭り。 「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と芭蕉の弟子其角が詠んだように、正月を迎える最初の祭りとされていました。

東京都台東区千束3-20-25
Tel:03-3874-3096

アトリエ山藤 より車で約10分
(上記の住所は工房のため、購入は不可。
購入希望の方は、直接酉の市にお越しくださいね。)

この記事を書いた人

オンラインショップマネージャー 山本

酉の市へ行くと、クリスマス、年末、お正月が始まるぞ!という気合が入ります。吉田さんの熊手の竹。新調した時はまだ青々としていて、春になるにつれて色が変わっていきます。季節が移りゆくのを感じることができるアイテムです。ミニサイズはご自宅におすすめ。

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