創業147年、老舗印房の次世代夫婦が営むワインバー
東京・日本橋に「新川」という地域があります。1624年に、霊岸寺が建立されたことから「霊岸島(れいがんじま)」の名でも親しまれています。隅田川、日本橋川、亀島川に囲まれ、水運の良いこの地は、江戸時代には日本酒の問屋筋として栄えました。1625年に創建された新川大神宮は、現在でも酒問屋・酒造家の守護神として崇められています。
そんなお酒の神様のお膝元に「ワインバー杉浦印房」は店を構えています。料理人の杉浦卯生(うじょう)さんと、ソムリエの資格を持つ千里(ちさと)さん夫婦が営む、カウンターとテーブル3席の小さなお店です。
まず気になるのは「杉浦印房」という屋号。“印房(いんぼう)”とはハンコ屋さんのことです。実は、卯生さんのご実家は創業1871年の老舗印房。元々「杉浦印房」であった店舗を改装して「ワインバー杉浦印房」を2018年3月にオープンしました。親族からは「印房なんて付いていたら、飲食店と分かってもらえない」と反対されたそうです。それでも、「ご先祖様から引き継いだこの屋号を守りたい」という二人の思いで、この屋号を残しました。開店してみると、地元のお客様からは「よくこの名前を残したね」と大変に喜んでいただけたそう。高い天井の壁には、代々受け継いで来た屋号が大切そうに飾られていました。
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